支部等活動山岳部OB会総会

最近の卒業生諸君や、ましてや現役の生徒諸君からは、「えっ、栄光に山岳部があったの?」などと言われてしまいそうですが、確かにあったんです、「栄光」に輝く「山岳部」が。
学園創立3年後の1950年、天狗さん(故ハンス・シュトルテ神父)によって創設され、指導者難で廃部を余儀なくされた1975年までの間。その25年の間、北・南アルプス、八ヶ岳、秩父、丹沢など、厳冬期を含む通算400回余の山行を、一度の事故もなく敢行、中学・高校ではトップレベルの実力を誇っていたんです。「国体に是非」と出場を懇願されたけれど、「山登りは競争ではない」と天狗さんが断った、という逸話も残っています。
そんな栄えある“天狗隊”ですが、天狗さんは2007年、93歳で天に召され、二代目部長だった金子省治先生も逝去。OB総員214名も、1期生が83歳、一番若手の24期生でも還暦近い58歳。皆、年取っちゃましたねぇ~。連綿と今なお続く他の運動部を、決してうらやむわけではありませんが、少々、息絶え絶えの天狗隊ではあります。
でも、そんな天狗隊が、ガツンと元気になるのが、年一回、秋に開催される「OB会総会」です。本校教員だった14期OBの大沢洋一郎さんが、長らく幹事役を務めてくれましたが、ここ10数年は各期持ち回りでの開催です。
今年は10月15日、天狗さんの103回目の生誕日での開催となりました。会場は、横浜駅西口に程近い「ホテル・プラム」。参加者32名。
冒頭は無論、OB会3代目会長の菅田栄一さん(5期)のご挨拶。「楽しかった山行に思いをはせ、天狗さんに感謝しつつ、楽しい時間を過ごしましょう」。ちなみにOB会長は、初代が小笠原啓祐さん(1期)、2代目が星野芳久さん(3期)です。
次いで、乾杯の前触れに始まったのが、この日の最大のビックリ・ビック・イベントとなった星野前会長の天狗踊りでした。真っ赤な天狗の面を被り、頭はバンダナ、衣は作務衣。いきなり壇上に駆け上り(平場ですけど)、朗々と口上を述べた後、歳を感じさせない激しい踊りで、会場からはやんやの喝采です。
山行の打ち上げは通常、キャンプファイヤーとエネ大会(持ち寄ったお菓子を食べる会)と決まっていますが、そのフィナーレを飾るのが、天狗さんのいわゆる「天狗踊り」だったのです。浴びる火の粉をものともせず、奇声を発しながらの激しい踊りに、部員たちは皆、ワイワイ、ギャーギャー、苦しかった合宿の疲れも吹っ飛んだものでした。
あの時代―。田浦校舎の裏山の10数㍍の岸壁をザイル一本で降りる山岳部員。その格好良さにあこがれて入部した部員も多かった(実は私も)。米軍との境界の金網沿いの尾根筋を鷹取山までひとっ走り。ごっつい岩肌を、今でいうフリークライムで登りっこしたこともあったなぁ。そういえば、ローハイドの若頭・ロディー役のクリント・イーストウッドも細身でシニカルな若者だった。
「山の男の十の掟」を声高に唱え、「山岳部歌」、「涸沢の朝夕」を熱唱すれば、皆それぞれに昔返りの3時間。栄光山岳部は、今も、これからも、ずっと、ずっと、健在。では、では、「また、来年」。互いに熱く約してのお開きとなった。

田中 泉 (11期)