ホーム事務局通信対談企画栄光学園元教諭 飯野 習一先生(19期) x 栄光学園同窓会 会長 山田 宏幸

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栄光学園元教諭 飯野 習一先生(19期) x 栄光学園同窓会 会長 山田 宏幸

飯野習一先生インタビュー

栄光学園同窓会会長 山田宏幸 (30期)

コロナ騒動で掲載が遅れていました、北海道北見に飯野先生を訪ねての対談の様子をUPします。また、対談の前に、北見藤高等学校の大坪校長先生(現在、校長先生は代わられた様子)を交えて1時間ほどお話をさせていただきましたので、北見藤高校のアウトラインとともに、その様子を少しご紹介します。
2020年1月末日、北見駅にほど近い宿から雪道を歩いて約20分、北見藤高校へと向かいました。北見にしては珍しく重い雪がしっかりと積雪し、朝から除雪車が街中を忙しく走り回っています。それなりの積雪だったこともあり、学校までは宿からほぼ一本道なのですが、学校の校門をすぐに見つけることが出来ず、かなり広い学校敷地の周りをうろうろと捜し歩き、校舎入口にたどり着くまでに、結局宿から40分ほどもかかってしまいました。やはり、北海道は広い!?
校舎入口で事務の方にご挨拶すると、すぐに飯野先生が出迎えてくださいました。北見藤高校の校舎は土足厳禁、上履き(スリッパ)に履き替えです。履き替えは、息子の小学校以来でしたので、結構新鮮でした。校舎は新築ほやほやですから、本当に綺麗で、生徒数は1学年定員140人の3学年なので、栄光よりも大分こじんまりしています。天井も少し低く感じました。木のぬくもりが大いに感じられ、清潔感に溢れ、とても落ち着いた感じの新校舎で、栄光の新校舎に似た雰囲気もあり、何か不思議な感じ、親近感を覚えました。

北見藤高校は、1956年に北見藤女子高等学校・中学校として創設され、2003年に中学校を廃止、2019年に男女共学としたことに伴い、現在の校名にしています。歴史の大部分が女子校ですので、卒業生は全員女性であり、地元の名士のお子様も多く、多くのOGが北見に住んでいるとのことです。とはいえ、同窓会については、会長ほか、役員のなり手がなかなかいないようで、この点は、どこも同じ課題を抱えていると感じました。同窓会は、学校の一部という位置付けで、年1回学校との懇親会も行うとのこと。会費は在学時に積む100円×36か月分のみです。若い世代の同窓会への意識が希薄で、同窓会名簿を平成8年に作成したものの、その1回のみの発行になっているとのことです。
大坪校長先生は、とても気さくで、また温かみのある方でした。カトリック校の先生ということもあるのでしょうか、とても親近感を覚え、ベースに同じ価値観を持つ方という印象でした。最後に大坪先生、飯野先生と3人で写真を撮らせていただき、飯野先生との対談に進みました。

久しぶりにお会いする飯野先生と山田会長

山田

本日は2018年3月まで栄光で教鞭を取られていた飯野習一先生を、現在の勤務先である北海道北見市の北見藤高等学校にお尋ねしてお話をさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。
私たち30期が中1のときに19期卒業生である飯野先生が専任1年目で20代前半、我々にとっては兄貴的な存在でした。先生から見ても30期は弟のような存在だったのでしょうか。

飯野

確かに後輩ではありますが、12歳と23歳の年の差もあり、そこはやはり生徒としてみていました。今はもっと近く感じますね。

山田

飯野先生は栄光学園を退職後、遠く北海道にわたり昨年まで女子高であった北見藤高校に赴任されましたが、どのような経緯があったのでしょう。

飯野

何か今までとは違うことを違うところでやってみたいという気持ちがありました。今まで栄光学園で中学、高校と学び、大学卒業後も栄光学園に戻って教職についたので、無意識に栄光学園から一度離れてみたいという思いがあったのだと思います。

山田

それにしても北海道の北見に単身赴任されるというのは大きな決断だったと思いますが。

飯野

栄光学園を退職してもまだ働きたい気持ちはあり、教員募集の情報を数か所で求めていました。その中で、地方で働く気はないかとのお話をいただきましたが、当初は遠隔地への赴任は想定していなかったのでお断りしました。ひと月くらい後に、実は北海道の北見市だということをあらためてうかがいました。いろいろなご縁があることも分かって、一回行ってみようかということになったのが2月です。

山田

4月から勤務を開始する前提での2月ですか。

飯野

そうです。実は国内で北海道にだけは足を運んだことがなく、まったくの初めての機会でしたが、北見藤女子高(当時)を訪れ校長先生や他の教職員の方とお話やお食事をさせていただきました。翌日もあちこち案内いただき、飛行場まで送っていただきましたが、その時点ではお引き受けするという返事ができず、あらためて帰宅後にご連絡することとさせてもらいました。
校長先生のお人柄や学校に対して好印象をもちましたが、女子高であること、知らない土地、単身赴任の生活などなど、まだ自分がこの学校で教えるイメージが湧きませんでした。
しかし帰宅後に家族と相談している中で、自分の気持ちに気づき始めました。この出会いに運命的なものを感じ、2月後半くらいには、よし行こうという気になっていました。
当時妻と母の3人で暮らしていましたが、妻は肯定的で背中を押してくれました。母は、私が遠方に行くことに抵抗感を示していましたが、一方で、本人が決めたら譲らないということも分かっていたようです。

山田

単身赴任を始めることに、不安などありませんでしたか。今までに自炊生活のご経験などはあったのでしょうか。私も2年間ほど一人暮らしをしていた時期がありますが、今思うと、とてもよい経験だったなと思います。

飯野

半年ほど大学の寮にいたことはありますが、本当の一人暮らしは初めての経験です。行くことを決めてから、急いて住まいを探し、買い物をし、バタバタと4月1日の着任を迎えました。

山田

学校では新任の先生として、どのような受け入れられ方だったのですか。

飯野

新卒の方も含めて6人の教職員が採用されていましたので、特別な受け入れ方ではなく、自然にメンバーに加えていただきました。
しかし、授業が始まってからが大変でした。今まで理科を教えていたのに初めて高校の数学を教えることになるので、それなりの準備が必要になります。
それに栄光学園とはカリキュラムのシステムが違います。栄光学園では1日にある学年4クラスの授業を繰り返します。だから準備も同じ内容で良いわけです。これが週に4日あって、1週間で16クラスという具合です。ところが北見藤高校では1日の中で数学Ⅱを1クラスだけ。数学Bも1クラスだけ。同じことを4回繰り返すわけではないので、準備のボリュームも多くなります。こういう感じで、今は週に15時間担当しています。
数Ⅰ、数A、数B、数Ⅱ、数Ⅲと、2年間でやっと全部の授業を教え終えたので、来年からは少し楽になるはずです。
自前のプリントも無くゼロからのスタートでしたが、少し貯金もできました。

北見藤高等学校大坪校長先生とご一緒に

山田

それは大変な労力ですね。栄光学園の男の子と北見藤高校の女の子との違いはいかがでしたか。

飯野

栄光学園にも色々な生徒がいますが、男の子はその場で叱れる。翌日まで引きずることがないですよね、自分自身は多少引きずっているのですが。でも、女の子には気を遣います。個人差ももちろんありますけど、うっかり叱り方を間違えて、しばらくコミュニケーションが取れなくなったこともあります。

山田

拒絶されてしまうという。

飯野

若い女の子に特有なのかもしれません。時間が経って関係を修復できましたが、1年目は本当に大変でした。

山田

地域性で救われたことはありますか。

飯野

基本的にみんないい子達ですね。本当に困った子はいない。それは私学ということもあるかも知れません。

山田

栄光も同じですね。

飯野

2年目は多少ペースが分かってきましたね。女子高から共学になって楽になった部分もあります。先生によっては女子高から変わって戸惑った方もいらっしゃるようですが。私は困ったら男子に振る。男の子をいじる。叱る。怒られ役の子がいて女子も笑ってくれる。男子校の技が使えるわけです。男子たちは良く言うとフレンドリー。馴れ馴れしいというか。

山田

2年間北見藤高校で教鞭を取られて、振り返ると栄光学園はどのような学校だったという印象でしょうか。

飯野

まだ栄光学園がこうだったという形ではまとめられませんが、栄光学園の生徒たちはいい子が多かったなぁ、とあらためて思いますね。

山田

栄光学園もこういう風に変わったらいいのにな、という視点はありませんか。北見藤高校とは私学として似ているとか、栄光は男子校として偏りがあったりしないでしょうか。

飯野

女子高には女子高の良さがあったと思います。落ち着いて勉強できるからと公立よりも私学を選んで来た子もいます。共学にも共学の良さがありますし、栄光も男子校の良さがあったと思います。栄光はのびのびしていて進学校らしくない。気を遣わず、勉強だけに追われる受験校ではなかったですね。

山田

今、栄光で生徒に何かを話すとしたらどのような内容になりそうですか。

飯野

すぐには思いつかないけど・・。でも、機会を作ってもらえたらと思いますね。考えておきます。栄光学園の卒業式で退職の挨拶をさせてもらいましたが、北見に行くんだよ、という話を生徒たちはとても面白がってくれました。これはうれしかったですね。6学年のうち5学年は担当したことがあって、みんな知っている生徒たちばかりだったですし。今度は、教えたことのない現役の生徒たちに喋るのもいいですね。

山田

栄光を離れたOBの先生が、また戻ってきて喋ることはなかなか無いですからね。とても貴重だと思いますので、是非。本日はどうもありがとうございました。

飯野

まだこちらの学校でも必死で余裕はないので、ぜひ応援してください。私のFacebookでのメッセージもご覧いただけたら、と思います。

北見藤高等学校(訪問時の1月は雪景色)

何を食べても美味しそうな北海道