中学入学して緊張の半年が過ぎ京急田浦駅から校舎までの早足にも慣れ、余裕ができて学校の周りを見渡してみると理科校舎の奥は低い丘になっており沢山の雑木が繁っていました。登ってみると原生林の趣きがあり野ウサギを見た事もありました、探検気分で進むと鉄条網が有り向こうは米軍追浜基地ですが季節毎に変わる林の中に入るのがひそかな楽しみでした。高校校舎横の広い荒地はある日命令が出て全員で小石を拾い雑草を抜いたらトンネルから見た事もない米兵の乗る大きな重機が出てきて平らにし見事なグラウンドになりました。トンネル下に清水の湧き出る小さな流れがありプラナリアを発見、脳と神経系を持つ扁形動物で見つけたときはすごく興奮しその後休み時間や部活(陸上)の合間に観察に行くのがうれしい時間でした。校舎は海辺にあり護岸の壁には糸巻きヒトデやイガイが付着し上から覗き込んで歩くのもリラックスできる一刻でした。生物部顧問の浅野先生にお願いしたらプランクトンネットを買って下さり岸壁からネットを海に沈め採取し顕微鏡写真を写真の専門家でもある先生に教わりながら撮影現像した写真を分類するのですが種類が多すぎ未だに手許に束になって残っています。中学校舎の裏の海側へ岸壁が無くなる先の磯をすぎると小さな砂浜が現れます。試しに掘ってみるとアサリがザクザク出てきてびっくり誰かに吹聴したかったのですが何故か自分だけの秘密にしてしまいました、その後この浜を見つけた人はいるのでしょうか?学校に行くのがこんなに楽しく毎日わくわくしながら通学した田浦は本当にパラダイスでした。
佐々木 一元 (11期)