「田浦時代」の記憶に残る先生の一人にエイレンボス先生がいる。(1886年5月9日~1978年9月6日。享年92歳)。ベルギーのご出身で、生涯のほとんどを日本で過され、栄光での在任もかなり長かったようだ。先生は語学の天才で20数ヶ国語をマスターされ、晩年は更にハングル語に挑戦されておられたとのこと、衰えない向上心には敬服の他ない。1948年入学の2期生の英語を担当されたときは既に62歳。14歳前後の中学生からみるとかなりの「オジイチャン」にみえて、「エイレンじいちゃん」と呼んで親しまれていた。先生は英語の勉強法の一つとして良く英語の歌を皆で歌った。
当時幹部先生方の家庭訪問が多かったが、ある日エイレンボス先生が突然我が家に来られたのには驚いた。電話のない時代でさぞ苦労されて家を探ししてこられたのだろう。家族と夕食を共に去れた楽しい想い出のひとつである先生には生徒が好みの語学(フランス語、ドイツ語、ロシア語など)を教えていただき、私は月2回部屋に伺ってラテン語を教えていただいた。大学の頃はイタリア語を学んだ懐かしい想い出がある。晩年先生は病から脚を患い脚を1本切断されたと伺った。全てを神の意に従って92歳の人生をかけ抜かれた思い出の先生のおひとりでる。
東海林 修 (2期)