山岳部0B会は部のOB会としては独特な組織かもしれない。メンバーは1期から24期のみ(なお、部の活動期間は1950/9/9~1975/4/20、その間の部員総数214名)。同期の部員は年5回の20日を越える山行で寝食を共にし、その際は大学生の先輩がリーダーとして付き添う。中学校の部活では2期上、3期上の先輩がそれぞれ1年間の指導。天気図の書き方をはじめ、山行に必要な座学、歌唱指導、鷹取山での岩登り(田浦時代だけだったかも)、30キロ越えるザックを担いでのトレーニング等々。今でも、期を越えた絆は同期の部員と同じく強く堅い。
さて、OB会は当初から、部長の天狗さん(ハンス・シュトルテ)の誕生日(10月15日)を祝う趣旨で、その前後を開催時期と定めている。2018年は10月13日に崎陽軒本店に30名(呼びかけは連絡がとれた159名)の白髪頭が集まった。
14期が高校2年の時に発行された「若い栄光」を手にした後輩はどれほどいるだろうか?その巻頭に掲げられた詩の中の「ぼくらがかってにつけた槍ヶ岳」の話が歓談のなかに飛び出してくる。
土曜日の部活は中2から高2までの全部員が「天狗が原」(場所は秘密、勿論、校内)に集まり始まる。その「天狗が原」からは田浦時代には「千里の波濤」が「寄せ来る」眺望があり、大船に移ってからは、はるかに丹沢の山々がうかがえたことなど思い出は尽きない。
会の山場は、参加者のほぼ一人ひとりのスピーチ。天狗さんの思い出、中学、高校での山行きでのエピソード、そして近況から終活への抱負などを披露した。
天狗さんの思い出にかぎれば、「天狗の思いやりを知らずに、一方的に叱られたと思い込んだ事」、「天狗の結婚式のスピーチが今にも心に残っていること」、「新婚で爆睡していた朝、天狗に山行き誘いに来られたのに気がつかなかったこと(あとで、隣人に外人が来ていたと聞いて気がついた)」などなど。
参加者があらためて確認するのは、山岳部を中心にすごしたあの数年が今までの生き方にどれだけの影響を与えたかであった。天狗さんが亡くなり11年になる今も彼との思い出がよみがえる。
山岳部アーカイブス委員会からは、天狗さんの遺品などを中心に山岳部の思い出の品が山小屋に設置され、今後はその他の品が学園内に保管されることになったことが報告された。
3時間があっと言う間に過ぎ、「山の男の十の掟」を唱え、「天狗隊の歌」などの歌から始まって最後に「栄光山岳部 部歌」を斉唱し、来年の再会を誓った。
森山 民雄 (14期)