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学園だよりドイル神父叙階50周年お祝いの会

10月17日(土)夜、ホテルプラムにてドナル・ドイル神父司祭叙階50周年のお祝いの会がありました。上智大学OB&OGの有志が主催したものですが、ドイル先生が教鞭を取った栄光学園と広島学院OBにも参加の呼びかけがあり出席しました。

ドイル先生は1958年26歳のときに初めて来日し当時田浦の栄光学園と同じ構内にあった日本語学校で2年間日本語を学び、1960年(12期は中3)から1962年にかけて2年間栄光学園で英語を教えました。12期生は異国で先生が教える最初の生徒だったようで、このアイルランド出身の先生に強烈ではないものの忘れ難い思い出があり、8名、出席しました。他にドイル先生と何らかの繋がりがあった13期生、24期生、40期生も出席し、オール栄光では12人の参加でした。

会のレポートからちょっとそれ、先生がどうして日本に来られたかを中心に先生の略歴に触れてみます(先生の手記、“WHY JAPAN?”より)。

先生は1931年10月11日アイルランドに生まれ、1948年、高校生時代に「フランシスコ・ザビエル」と出会い、1951年9月にイエズス会に入会し、1953年にフランスに留学し、1955年にアイルランドにて哲学を学びました。この後いよいよイエズス会士としてどこかの任地で働くことになり、管区長が決定します。当時3つの可能性があったそうです-アイルランド、ザンビア、香港。先生はそのどれでもなく、不安が一番大きいながら運命的に日本で働くことを希望されたそうです。そして幸か不幸か希望が叶ってしまいました。当時アイルランド人が日本に赴任するのは文化交流どころではなく、地球の端から端の辺境に行くようなものでした。ご両親に相談することなく日本行を決めたそうで、後に手紙でこのことを知らされたお母様は「ショックを受けたなどという穏やかな表現で伝えられません」、お父様は「爆弾を落とされたような衝撃」と述べています。お父様は家族に明かさなかったそうですが余命1年半の病気を抱えていたそうで、1958年二度と会えないと知りつつ息子を旅に送り出しました(お父様は頑張られましたが、1961年、先生が田浦にいるときに亡くなられたそうです)。

先生は1958年7月3日にナポリ港を出発、海路スエズ運河を経由してアデン(南イエメン)、ポートサイド(エジプト)、カラチ(パキスタン)、コロンボ(セイロン=スリランカ)、ボンベイ(インド)、シンガポールの各港に寄港し3週間後到着予定で香港に向かわれました。ヨーロッパから徐々に遠くへ遠くへ離れるにつけ、極東の意味がわかってきたそうです。香港に滞在した後、9月3日に横浜港に着きました。そして、田浦における日本語学校での勉強と栄光での英語教育に入られました。

田浦での4年間の後、先生は、1962年8月18日、神学の勉強のため今度はジェット機で故国アイルランドに戻られました。当時の栄光ニュースフラッシュにご帰国を報じる記事があります。

先生の希望でもあったでしょうが、お母様や家族がいる故国で勉強させようとの人間味ある計らいがあったことは容易に想像できます。先生もこの4年間は特別だったと述懐されています。

1965年7月29日司祭、叙階。

1967年広島へ。1968年から広島学院で英語を教える。

1977年、東京へ。上智大学にて一般英語を教え始める。

(以降の先生のキャリアはここでは割愛します)

さて、お祝いの会に話を戻します。当日は先生を慕う100名以上の出席者があって先生の司祭叙階50周年をお祝いしました。駐日アイルランド大使のアン・バリントンさんも駆けつけました。金祝に先立つ9月、先生は長年の日本での学生教育がアイルランドに大いに貢献したとしてアイルランド大統領殊顕彰を受けられたので、そのお祝いもしました。また10月は先生の誕生月でもあるので併せて祝いました。正にお祝いの三重奏でした。

幹事の女性スタッフはきめが細かく、料理にアイルランド料理を加えたり、小ぶりながらバースデイケーキを用意したりして、先生をもてなしました。

私にもスピーチの割り当てがありましたので、栄光OB10,000名のお祝いの気持ち、先生に英語らしい表現を教わったことへの感謝、田浦でお別れして以来53年ぶりに再会できたことへの幸運や喜びの気持ちをお伝えしました。

ドイル先生は終始控えめに嬉しそうでした。それでもシャイな先生の精一杯の喜びなのだと思います。先生が司式された結婚式で新生活に入ったOB、OGは数多く、先生はそういった人たちを檀上に呼ばれました。そして一言こう訊きました。“Are you happy?” 答がコーラスのように会場に響きました。→”Yes!”

いい雰囲気がずうっと会場を包んでいましたが、惜しむらくは時間が足りません。

出会いを大切にされたというドイル先生のお話、先生の英語教育に感謝する幹事のご挨拶を拝聴し、先生の好きな聖歌を歌って閉会となりました。

(詳細は以下の上智大学ソフィア会URLご参照:
http://www.sophiakai.gr.jp/news/article/2015/2015102801.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook)

出席者の一人である坂野正崇氏(40期)の感想を記して、このレポートを終わります。

「先生は、初めてお会いした34年前と変わらず、チャーミングで格好よく、優しい眼差しで、会場に入って来られました。今回のお祝いの席に集まられた方々が、先生との御縁を、長きに渡り大切に育まれて来られた事が、何でもない会話からも、十分に伝わって来ました。

人と人の出会いをとても大切にされて来たドイル先生。益々、お元気なご様子に、これからも先生を通じて、様々な縁が生まれるのだろうと感じた、幸せな夜でした。」

花井 勝三 (12期)

(1962年10月4日発行-栄光ニュースフラッシュ105号)

(栄光OBとの記念撮影)

(縁結びした教え子たちと。Are you happy?  Yes!)

(記念撮影)