学園だより加藤旭君よ、永遠なれ

脳腫瘍と闘う少年音楽家 加藤旭君(66期・高二)が逝去された。残念である。16歳という若さ、本人もさぞかし無念だっただろう。

中学二年での発病から3年にもわたる闘病生活。昨年5月末に幼いころからの作品を収録したCD『光のこうしん』を発売した。私は昨年の栄光祭で、旭君とご両親にお会いした。お母様から「バドミントン部の大先輩よ!」と紹介され、私はとっさに「是非病気を克服して、またコートに戻ってください」と、応えた。目の前の旭君は、可倒式のベッドに横たわり、無表情。すでに視力も失っていたのだ。

ところがその後体調が回復。昨年11月の銀座ヤマハホールでの公演では、車いすから元気に拍手を送る旭君の姿があった。このころ新作『Ray of right~一筋の希望』『船旅』を作曲。「奇跡が起こった」と感じたものである。しかし今年の年明けから再び体調が悪化、入退院を繰り返した。そしてセカンドアルバム『光のみずうみ』の制作を完了し、前述の『船旅』を聴きながら「じゃあ行くね」と旅立ったとお母様から聞いている。

本号に『学園通信より』に掲載の望月校長の話のとおり、彼は『men for others~人のためであれ』そのものである。しかし旭君は自ら『誰かのために役に立ちたい』であった。昨年春に『余命3ヵ月』と宣言されていたと、お母様 希さんから聞いた。しかしそれから1年2ヶ月も頑張ったのだ。闘病の苦しみの中で前向きに生き、他者に勇気と元気すら与え続けた旭君。天使となった今も永遠に生き続けるであろう。

PS.月命日の6月20日に、66期生一同のプロデュースで学園での追悼式が執り行われました。同窓会ホームページに学園通信『加藤旭君追悼式』を転載しております。是非ご一読ください。

島崎 裕之 (26期)