愛の運動委員会が希望者を募り夏休みに元ハンセン病患者の方々暮らす御殿場の神山復生病院を生徒たちが訪問しました。元患者の方々との交流や施設の歴史を学んだY君(高1・67期)の感想文を紹介します。
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今回初めて神山復生病院に行った。そこで僕が驚いたことはたくさんありました。一つ目はハンセン病元患者さんの数です。僕は病院には20人かそれよりも多いくらいの人がいるのだと思っていましたが、実際には6人で、しかも全員ご高齢であり、とても驚きました。後から藤原さんがおっしゃっていましたが、ハンセン病は感染力のとても弱い病気で、現在日本ではもう感染者は出てこないであろう。そんな病気であるので、もう新たに病院に来る人はいないということです。二つ目は、ハンセン病元患者さんは、多少の体の不自由がありつつも前向きに生きているということです。来る前は、昔から多くの差別を受けてきて、ネガティブな思考をしているのではないか、悩み事が多いのではないかと思っていました。しかし実際は自分にできることを見つけ、いろいろな趣味の活動をされていて、そのようなことは一切感じられず、尊敬の念を抱きました。三つ目は、この病院がいわゆる「強制収容所」のような性格を持っていないことです。この病院は私立で、国からのお金もなく、生活環境は他の施設と比べると厳しいものだったそうです。しかしこの病院は他と違って地域から隔離されているわけでもなく、地域からの差別もありませんでした。そのため多くの人がこの病院に来たそうです。
このように僕が考えていたことと実際は大きく違っていた点がいくつもありました。来年はこのような病院訪問はできないかもしれませんが、今回の病院訪問はとてもいい経験になったと思います。
囲碁将棋部は関東高校将棋リーグA級で2連覇を達成しました。M君(高2・66期)のレポートを紹介します。
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僕は、8月12日に行われた関東高校将棋リーグ戦に参加しました。この大会は5人1組で戦う団体戦です。栄光学園はその中でも最上位のA級に属しています。A級グループ参加校は栄光、桐朋、開成、日大三島、浅野、武蔵で、この6チームでリーグ戦を競いました。
僕はこの大会に栄光学園の二連覇を賭けて臨みました。
一回戦 武蔵 5-0で圧倒的勝利!
二回戦 浅野 4-1で勝利!!
三回戦 不戦勝!!!
四回戦 開成 3-2で勝利!!!!
五回戦 桐朋 3-2で勝利!!!!!
という、素晴らしい結果でした。
この中で印象に残っているのは、四回戦であたった開成との試合です。開成は、昨年のリーグ戦で唯一負けてしまった学校ということもあり、今大会の中でも一番大変な勝負になると思っていました。実際、開成との試合はギリギリの勝負になりました。自分の勝ちが決まった時点で2-1。次に終わった対局は惜しくも負けてしまい、開成との勝敗は、最後の対局にもつれ込みました。一進一退の攻防を繰り返す白熱した対局となりましたが、なんとか勝つことができました。結果、3-2で開成に勝利し、昨年の借りを返すことができました。そして、最終戦(桐朋戦)の結果を待たずして優勝を確定させることができました。
今年は、全ての学校に勝利して、この大会での連覇を果たすことができ、とても満足のいく結果となりました。
最後に引率してくださった石川先生、いつも応援してくださっている先輩方に感謝いたします。ありがとうございました。
次世代人材育成事業として科学技術振興機構が主催する「科学の甲子園」全国大会の神奈川県大会で、高校生が6連覇を達成しました。学園通信の記事を転載します。
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「科学の甲子園」全国大会への予選を兼ねた神奈川県大会が、29チームが参加して行われた。11月3日(祝)の筆記競技、2016年11月6日(日)の2つの実技競技の結果、栄光学園Aチームが総合1位、Bチームも総合2位となり、6年連続6度目の全国大会への切符を手にした。
筆記競技は理科・数学・情報の各分野からの出題で、6~8人のチーム全員で一斉に取り組む。Aチームは抜群の安定性でこの部門1位を獲得、Bチームは生物分野を得意とする選手を欠くも、大量失点を何とか抑えた。
実技競技の1つは、1チーム3~4人参加の生物シミュレーション実験。内容は非公表なので紹介できないが、上位チームには結果の差がつかない厳しい展開。栄光2チームは無難に課題をこなし、勝敗の行方は最後の実技競技へ。
最後の実技競技は、既定の材料で作られた車をあらかじめ製作しておき、坂道を転がした後、当日発表される距離で自動的に停止させ、その正確性を競うもの。午前中1時間の試走で最終調整し、午後の本番2レースへ。昼休みをはさんで湿度などの条件が変わってしまったようで、1レース目は多くのチームが軒並み1メートル以上の距離オーバー。試走のできない、感覚勝負の調整を経た2レース目では、Aチームは17センチ差、Bチームは1位タイの4センチ差という驚異のリカバリーを見せた。
全国大会は来年3月17日(金)〜20日(月)に行われる。一部競技はUSTREAMなどで実況生中継される予定。
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「科学の甲子園」の中学生版である「ジュニア」神奈川大会においても2連覇を達成しました、2位の桐蔭学園との合同チームで県代表として12月に行われた全国大会に出場しましたが、結果は47チーム中21位でした。
中2(69期)の倫理科特別授業で「共に生きる」をテーマに各種講座が実施されました。「認知症サポーター養成講座」に参加したT君のレポートを紹介します。
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認知症サポーター養成講座で、一番大切だと分かったのは「認知症の人」に合わせてあげる、ということでした。それは、僕たち認知症でない人は大抵のことを記憶しているため起きたことが「事実」であり、一方、認知症の人は一部の記憶が欠けているため、起きたこと全てを事実として認知できない。だから、自分と思っていることが違うのは当然で、無理に自分の考えを強制することが適切ではないことは考えてみればあたりまえな気がする。
講座では若くしてアルツハイマーになってしまった人のメッセージが上映され、認知症というのは“若いから大丈夫”ではなく、常に自分が発症する可能性があり、関心を持つべきだと思った。また、関心を持つことで認知症の人をより深く理解できるのではないかとも思う。
僕の祖母は昨年5月に脳出血を発症して以来、生活が一変し歩くことも出来なくなり、認知症にもなってしまった。今では祖母は僕が「孫」であることすら分からなくなりつつありますが、祖母が「近所の人」だと勘違いしたとしても、誰だと思われても否定せずに合わせることも大切かもしれません。今まで祖母に優しくサポートしてきたつもりでしたが、「認知症の人がどのように思っているか」ということを学ぶと、自分のそのサポートの「形」も考え直すべきだと思いました。
身近に認知症の人が居る一人として、講座を受けて良かったと思いました。
2学期から新校舎の一部使用が始まっていますが、終業式での望月校長の講話を抜粋して紹介します。
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仮設校舎に移って一年あまりが過ぎ、新しい校舎の姿がしだいにはっきりと現れてくるようになりました。今は、聖堂軸といいますが、新校舎の北棟と南棟とをつなぐ渡り廊下のような機能を果たす部分の建築が進み、毎日少しずつ、形ができてきています。たとえ2階建てといっても、校舎と校舎とが廊下でつながっていなければ、2階から2階へ移ろうとしても、一度階段をおりてまた上がるのですから、移動距離が長くなります。
今年一年を振り返ると、例えば建物と建物をつなぐ渡り廊下のように、架け橋になってつなぐということが、とても大切なことだとあらためて認識された年だったのではないかと思います。
さて、先月の25日に興味あるニュースが新聞に出ていました。みなさんも知っているかもしれません。ロボットは東京大学の入学試験に合格することができるか。そんなテーマで、国立情報学研究所が人工知能(AI)の開発研究をはじめて5年がたちましたが、先月の報道によると、そのプロジェクト自体が取りやめになったということです。そのロボットの名前は東大合格のためのロボットなので、東ロボくんといいます。東ロボ君は開発から10年後の2021年の東大合格をめざしていたそうですが、まだその期限まであと5年もあるのに、合格は無理だとしてとりやめられたのだそうです。確かに、AIですから暗記力や計算力は抜群で、数学などは模擬試験で偏差値78くらいまでとれたそうです。つまり論理と統計と確率はわかるのです。ですから、皆さんもご存じのように、東大合格以外でも、AIはチェスや囲碁でプロに勝てるくらいにまでなりました。でもAIは論理と統計と確率はわかっても、文章の読解力がとても弱く記述力も弱い。つまり、読み取るということと、相手に伝わるように表現するということが苦手なのです。
意味を理解する、ということは、あることとあることとの繋がりがつく、ということですよね。「わかった」という瞬間は、あることとあることの意味が「つながった」という瞬間でもあります。意味を理解するとは、例えば、なぜ彼があのときにあんなことを言ったのか、こんな行動をしたのかが、つながったということですよね。物事と物事の間に繋がりがつくということは、ことばをかえれば、架け橋がかかる、あるいは架け橋をかけるということです。架け橋の反対は壁です。二つの間に壁を設けて、繋がりをたつことです。
ある人が、国境線沿いに長い壁を設けようとしています。そのことについて尋ねられたカトリック教会のローマ法王フランシスコは「どこにであれ、壁を作ることだけを考え、架け橋を作ろうとしない人はキリスト教徒ではない」と言ったと報道されました。
架け橋をかけるということは、物事と物事のあいだに繋がりがつくということ、すなわち相手を理解する、ということです。法王フランシスコは架け橋を作ってお互いに理解し合うことの大切さを語っていたのだと思いました。
私たちは壁を作るためではなく、架け橋をかけるためにこの学校で学んでいるのです。それが世界のイエズス会学校で言われているmen for othersということです。今年一年を終えるにあたり、みなさんにぜひ、そのことを考えてもらいたいと思いました。
内山 正樹 (9期)