今回の歴史文学散歩は旧東海道で江戸から3番目にあたる神奈川宿の散策である。当日の天気予報は雨で開催が危ぶまれたが、朝方に降っていた雨も上がり、集合時間の10時には曇り空になっていた。雨模様のせいかいつもよりは少なめだったが、常連を中心に3期から21期の10名がそろった。
集合した京急神奈川新町駅近くで、宿場東側の江戸方見附跡とオランダ領事館跡(長延寺跡)から神社仏閣を中心に辿り、青木橋を渡って西側の上台橋までの工程であった。神奈川宿の道筋は横浜市の魅力ある道路づくり事業として1993年頃までに整備されたそうで、道路はレンガブロックが敷かれ、道順も分り易かった。
神奈川宿は神奈川湊が日米修好通商条約で決まった開港五港の一つであったことから外国の公館がお寺に置かれていた。今回のコースではオランダ・イギリス・フランス・アメリカ等の公使館・領事館跡があった。また、浦島太郎ゆかりのものが残っている浦島寺(慶運寺)、山門を白ペンキで塗ったのが本邦塗装の始まりのため全国塗装業者合同慰霊碑がある本覚寺、大天狗の伝説で知られる大綱金刀比羅神社などちょっと趣きの変わった社寺も見られた。
よく見る神奈川宿の絵図では海岸沿いの旅籠などが描かれていて、今の風景とは異なった印象である。街道は江戸時代には海岸沿いだったが、現在は埋め立てで海岸線が遠くなっているとのこと。特に横浜駅付近は江戸時代には入り江だったが、近場の山を切り崩して埋め立てて作られた土地とのこと。内陸部であっても断崖の痕跡など当時の面影も見られた。
途中お楽しみの昼食は付近をよくご存じの参加者の案内で、旧東海道を少し外れて横浜市卸売市場内の食堂に寄り道。知る人ぞ知る処らしく、ちょうど昼食時で各店の前には行列が出来ていた。海鮮からラーメンまでなんでもお好みで食べられた。
今回の歴史文学散歩では、幸運にも雨の天気予報は外れ、道中全く降らなかった。また、この歴史文学散歩は2003年に故金子省治先生が始めて以来50回以上にわたって行われているが、一度も雨天中止はないとのこと。参加者の日常の行いが良いのか、案内人が晴れ男と呼ばれているためなのだろうか。この幸運が続くことを望む。
本号の別項でも紹介しているが、歴史文学散歩は来年度も4回の実施を予定している。手頃な健康作りにもなるので、皆様もご参加ください。
参考に、今回の順路は下記の通りであった。
神奈川新町駅(集合)〜オランダ領事館跡(長延寺跡)〜良泉寺〜笠䅣稲荷
〜能満寺・神明神宮〜 金蔵院〜熊野神社〜高札場〜 成仏寺〜慶運寺
〜(横浜市中央卸売市場(昼食))~神奈川宿本陣跡〜イギリス領事館跡(浄瀧寺)
〜神奈川の大井戸〜ヘボン博士診療所跡(宗興寺)〜権現山〜洲崎大神
〜フランス公使館跡(普門寺)〜アメリカ領事館跡(本覚寺)〜 望欣台〜一里塚跡
~大綱金刀比羅神社〜台の坂 茶屋〜神奈川台の関門跡〜上台橋(解散)
前山 茂雄 (13期)