2018年度の最後の「歴史文学散歩」に初めて参加しました。今回は元号の平成の最後の散歩になりましたが、前からこの行事には興味があり、そのうちにと思っていたのが今回になりました。総勢14名の初老の栄光卒業生とご家族1名が集い、和やかにおおよそ4時間半を何か所か寄り道しながらウオーキングをしました。この日のテーマは「初春の古道・戸塚の鎌倉道を歩く」で、鎌倉時代から戦国時代までの関東武士の栄枯盛衰の歴史を物語る古道を歩く行程です。
湘南台に近い下飯田駅から始まり戸塚区と藤沢市の境にある俣野別邸での解散でしたが「散歩」とは名ばかりのかなり歩きでのある内容でした。参加者の中では十分若手に位置する私ですが、皆さん健脚でほとんどの方が毎回参加されておられるそうで、私も元気づけられて歩き通しました。
この日は天候も良く、まだ3月でしたが、都内の桜の開花が21日でこの日は都内ではほぼ満開のようでしたが、戸塚・藤沢地区は1週間ほど遅れていますのでこれからといった感じでしたが場所によってはほぼ満開の桜も有りお花見も楽しむことができました。
今回歩いたのは小田急線の湘南台駅から善行駅の東側の古道を境川沿いに歩くコースでしたが、近くのメインストリートはよく車で走りますが少し中へ入ったこの古道周辺は別世界でした。初めて寄るところばかりで、神社や寺、代官屋敷跡、特徴のある公園など興味深いところが多かったです。
散歩コース一帯は横浜市の農業専用地区に指定されていて、ホウレンソウやコマツナなどの葉物野菜、トマト、キュウリなどが実際に生産されている田園地帯で、前はどこにでもある風景でしたが今は貴重な地域と言えます。
今回の散歩で特に印象に残ったのは天王森泉館と称されているかつての生糸の製糸工場の一部が移設された建物があり、当時の雰囲気を少しばかり感じ取ることができました。また聞きなれないウイトリッヒの森や最後の訪問地俣野別邸も隠れた安らぎの場所でした。
この俣野別邸は旧住友家俣野別邸の略称で、1939(昭和14)年に住友財閥の第16代住友吉左衛門友成の別邸として戸塚区東俣野町に建設されたものですが後に国の所有となりました。そして、当時の郊外邸宅の有り様を物語る歴史的価値の高さから、2004(平成16)年に国の重要文化財に指定されましたが、2009(平成21)年3月に出火、母屋を全焼してしまいました。しかし、今は焼失前の建物に近いものが復元されて一般公開されており、付属庭園もよく整備されていますし、カフェもあるので周辺の住民の憩いの場になっているようです。
今回参加して知ったのですが、この歴史文学散歩は故金子先生の志を継いで、三春氏(6期)が世話役として運営されており、氏は御高齢にもかかわらずコース選定やその下見、資料作成とたいへんなご努力をされていることを知り頭が下がる思いでした。また参加したいと思っています。
吉田 幸弘 (14期)